【2025年最新】ドローン国家資格の更新講習完全ガイド|2026年問題・費用・手続きを徹底解説

執筆: Soraseed

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#航空法

はじめに

2022年12月5日に施行されたドローンの国家資格制度(無人航空機操縦者技能証明)は、間もなく最初の更新時期を迎えます。制度開始直後に資格を取得した方々の有効期間満了日は、2026年1月末に到来します。

この「2026年問題」に備え、資格保有者は早期の準備が求められます。更新プロセスには「9ヶ月前から受講可能」「6ヶ月前から申請可能」「修了証は3ヶ月以内有効」という3つの異なる期限が設定されており、これらを正確に理解しないと、受講した講習が無効になるリスクさえあります。

本記事では、ドローン国家資格の更新講習について、受講タイミング、登録更新講習機関の選び方、講習内容、費用、身体適性基準、DIPS 2.0での申請手順まで、プロの操縦者が知っておくべき全ての情報を網羅的に解説します。

ドローン国家資格の更新講習について学ぶ日本人操縦者の後ろ姿

ドローン国家資格の更新制度とは

有効期間は3年間

ドローンの国家資格(無人航空機操縦者技能証明)の有効期間は、交付日から3年間です。この制度設計は、急速に進歩するドローン技術、改正される航空法規、安全運航に関する最新の知見を、操縦者が定期的に学び直すことを目的としています。

資格を継続して保有するためには、有効期間満了前に「登録更新講習機関」で更新講習を受講し、DIPS 2.0(ドローン情報基盤システム)を通じて更新申請を行う必要があります。

2026年1月:初回満了日の到来

国土交通省の公式ガイドラインによれば、制度開始(2022年12月)直後に資格を取得した第一陣の有効期間満了日は、2026年1月末に到来します。この時期には、多数の資格保有者による更新講習の受講と更新申請が集中することが予想されます。

2025年9月時点で、一等資格の保有者は約12,000人、二等資格の保有者は約70,000人に達しており、初回更新時期には登録更新講習機関への予約が集中する可能性があります。早めの準備と予約確保が推奨されます。

更新を怠った場合のリスク

有効期間満了日までに更新申請が完了しなかった場合、技能証明は失効します。失効後にドローンを飛行させるには、以下のいずれかの対応が必要です。

  • 再度の技能証明取得: 初回と同様に登録講習機関で講習を受講し、実地試験・学科試験に合格する必要があります。費用は一等で40万円〜110万円、二等で15万円〜40万円程度かかります。
  • 特定飛行の制限: 国家資格なしでは、レベル4飛行(有人地帯での目視外飛行)はもちろん、カテゴリーIIの特定飛行(人口集中地区での飛行、夜間飛行、目視外飛行など)を行う際の許可申請が大幅に複雑化します。

更新講習の費用は2万円〜3万円程度で済むため、再取得に比べて圧倒的に低コストです。計画的な更新準備が不可欠です。

更新講習の受講タイミング:3つの重要期限

ドローン国家資格の更新プロセスには、操縦者が正確に把握すべき3つの異なる期間(「窓」)が存在します。これらを誤解すると、受講した講習が無効になる危険性があります。

①講習受講可能期間(満了日の9ヶ月前~)

更新講習の受講自体は、技能証明の有効期間満了日より9ヶ月前から可能となります。2026年1月末が満了日の場合、2025年4月頃から更新講習の受講を開始できます。

国土交通省は、この時期に対応するため、「登録更新講習機関」の登録申請受付を2025年4月から開始しました。操縦者は、この時期から受講の予約を確保できます。

②DIPS申請可能期間(満了日の6ヶ月前~)

DIPS 2.0を通じた実際の更新「申請」は、有効期間満了日の6ヶ月前から可能となります。2026年1月末が満了日の場合、2025年7月頃から申請受付が開始されます。

この時期になると、DIPS 2.0の「技能証明の更新申請」メニューが利用可能になり、更新講習修了証明書と身体適性証明をアップロードして申請できます。

③講習修了証の有効期間(申請前3ヶ月以内)

更新申請には「更新講習修了証明書」が必須ですが、この証明書は更新申請時から遡って3ヶ月以内に修了したものでなければなりません。

これが最も注意すべき期限管理のポイントです。

タイムライン管理のポイントと注意点

3つの期間設定は、操縦者にとって重大なコンプライアンス上の注意点を含んでいます。

シナリオ1:最速で受講した場合のリスク

  • 満了日9ヶ月前(例:2025年4月)に講習を受講
  • 修了証の有効期限(3ヶ月)は2025年7月頃に切れる
  • DIPS申請が可能になるのは満了日6ヶ月前(例:2025年7月)から

つまり、最速で受講した操縦者は、申請受付が開始され次第、修了証の有効期限が切れる前に「即座に」DIPS 2.0での申請を完了させる必要があります。もし受講から申請まで3ヶ月以上が経過してしまった場合、受講した更新講習は無効となり、**再度講習を受講(=追加費用が発生)**しなければなりません。

推奨スケジュール

最もリスクが低いスケジュールは、満了日の4〜5ヶ月前に講習を受講し、その直後に申請を行うパターンです。

  • 2026年1月末満了の場合:2025年8月〜9月に受講 → 即座に申請
  • 修了証の有効期限:3ヶ月(十分な余裕)
  • DIPS申請期限:満了日まで5ヶ月以上

このスケジュールなら、修了証の有効期限切れリスクを回避しつつ、余裕を持って申請できます。

屋外でドローンを操作する練習をする日本人操縦者の後ろ姿

登録更新講習機関(RRTI)の選び方

更新講習を受講する機関の選定には、重要な注意点があります。

「登録講習機関(T)」と「登録更新講習機関(R)」の違い

国土交通省のリストには2種類の機関が存在します。

  • 登録講習機関(事務所コード "T"): 初回の資格取得のための講習を実施する機関
  • 登録更新講習機関(事務所コード "R"): 更新講習を実施できる機関

操縦者が初回の資格を取得したスクール(Tコード機関)が、必ずしも更新講習(Rコード機関)を実施できるとは限りません。更新講習を受講する際は、国土交通省の「Rコード」リストに掲載されている機関の中から選定し直す必要があります。

国土交通省:登録更新講習機関一覧(PDF)

主要な登録更新講習機関リスト(首都圏)

国土交通省の「登録更新講習機関(Rコード)」リストに基づく、東京都・神奈川県内の主要機関は以下の通りです。

東京都

  • 株式会社ハミングバード (東京都新宿区新宿5-16-4) - 一等・二等対応
  • 楽天ドローン株式会社 (東京都江戸川区松江5-7-13) - 一等・二等対応
  • 株式会社ENBUゼミナール (東京都品川区西五反田2-4-2) - 一等・二等対応
  • 田中電気株式会社 (東京都千代田区外神田1-16-9) - 一等・二等対応
  • 株式会社スカイピーク (東京都渋谷区渋谷2-24-12) - 一等・二等対応

神奈川県

  • 株式会社エーブレイン (神奈川県厚木市愛甲東1-22-30) - 一等・二等対応

オンライン受講可能な機関の紹介

標準更新講習(行政処分歴なし)の場合、多くの登録更新講習機関でオンライン(eラーニング)受講が可能です。全国どこからでも受講できるため、地理的な制約がありません。

楽天ドローンアカデミー

  • 一等・二等一律:20,000円(税込)
  • 完全オンライン受講(学科講習+効果測定)
  • 全国対応

秋葉原ドローンスクール(田中電気)

  • 一等:27,500円(税込)
  • 二等:22,000円(税込)
  • オンライン受講対応

日本ドローンアカデミー(ENBUゼミナール)

  • 二等:19,800円(税込)
  • オンライン受講対応

オンライン受講の場合、受講者は自宅やオフィスから都合の良い時間に学科講習を受け、最後にオンラインで効果測定(テスト)を受験します。修了証明書は、講習機関から郵送またはPDFで発行されます。

更新講習の内容と所要時間

更新講習の内容は、保有資格の等級および過去の行政処分歴によって異なります。

標準更新講習(停止処分なし)の場合

行政処分歴のない、大多数の操縦者が受講する標準的な更新講習です。

オンライン学科講習のトピック

講習内容は、既存の知識の再確認と、最新情報のアップデートに焦点が当てられています。

  • 無人航空機操縦士技能証明制度の概要
  • 無人航空機を飛行させる者が遵守すべき事項
  • 最近の無人航空機関連の制度改正
  • 事故・重大インシデント事例及び教訓
  • 運航ルール・事故防止に関する情報

実際の講習は、オンラインeラーニングによる動画視聴と、理解度を確認する効果測定(テスト)で構成されます。行政処分歴のない「標準更新」の場合、実地講習は免除され、全てオンラインで完結します。

一等と二等の違い(3時間 vs 2時間)

学科講習の所要時間は、一等と二等で異なります。

  • 一等無人航空機操縦士: 3時間
  • 二等無人航空機操縦士: 2時間

この1時間の差は、一等資格保有者に対して追加される「一等無人航空機操縦士が留意すべき事項」という専用トピックに充てられます。一等資格はレベル4飛行(有人地帯での目視外飛行)を担う可能性があるため、より高度な安全運航知識が求められます。

停止処分者向け講習の場合

過去に行政処分(技能証明の効力の停止)を受けた履歴がある操縦者は、標準更新講習に加えて、**追加の講習(学科の一部および実地講習)**が義務付けられます。

追加の実地講習が必須

停止処分者は、標準的なオンライン講習のみでは更新が認められません。講習機関に赴いて対面での実地講習(および追加の学科)を受ける必要があります。

実地講習では、シミュレーターまたは実機を使用して、基本的な操縦技能の再確認と、安全運航に関する実践的な訓練が行われます。

時間と費用の比較

この追加講習は、時間と費用の両面でペナルティとしての側面を持ちます。

PASドローンスクール大阪の料金体系

  • 標準更新(一等):75分で22,000円(税込)
  • 停止処分者向け講習:115分で44,000円(税込)

停止処分者は、時間と費用の両方で標準更新者の約2倍のコストを負担することになります。

オンラインでドローン更新講習を受講する日本人の手元

更新講習の受講料と費用

更新に必要な総費用は、「①行政手数料(固定)」と「②講習受講料(変動)」の2つの要素で構成されます。

行政手数料:2,850円(固定)

DIPS 2.0での更新申請手続きの際、国(航空局)に納付する手数料です。金額は一等・二等共通で2,850円です。

この手数料は、クレジットカードまたはPay-easy(ペイジー)で支払います。

講習受講料の相場(19,800円~27,500円)

受講料は、国が定めるものではなく、各登録更新講習機関が独自に設定します。市場価格帯の分析(標準更新・停止処分なし)は以下の通りです。

主要機関の受講料

  • 楽天ドローンアカデミー: 一等・二等一律 20,000円(税込)
  • 日本ドローンアカデミー(ENBUゼミナール): 二等 19,800円(税込)
  • 秋葉原ドローンスクール(田中電気): 一等 27,500円(税込)、二等 22,000円(税込)
  • PASドローンスクール大阪: 一等 22,000円(税込)

主要機関の料金比較表

登録更新講習機関名対象資格講習時間(学科)受講料(税込)講習形態総コスト(概算)
楽天ドローンアカデミー一等3時間20,000円オンライン22,850円
楽天ドローンアカデミー二等2時間20,000円オンライン22,850円
秋葉原ドローンスクール一等3時間(推定)27,500円オンライン(推定)30,350円
秋葉原ドローンスクール二等2時間(推定)22,000円オンライン(推定)24,850円
日本ドローンアカデミー二等N/A19,800円N/A22,700円
PASドローンスクール大阪一等(停止処分者)115分44,000円対面実地含む46,850円

(注:総コストは受講料+行政手数料2,850円として算出)

一等と二等の料金差

市場の初期段階では、2つの異なる価格戦略が見られます。

フラットプライシング(楽天)

一等(3時間)と二等(2時間)の所要時間が異なるにもかかわらず、20,000円の一律料金を設定しています。価格の分かりやすさを優先し、eラーニングのスケールメリットを活かして早期に市場シェアを獲得する戦略と考えられます。

ティアードプライシング(秋葉原ドローンスクール)

一等(27,500円)と二等(22,000円)で明確に5,500円の価格差を設定しています。講習時間(3時間 vs 2時間)のコスト差を価格に反映させる、合理的な値付けです。

二等資格のみ保有する場合は、どの機関を選んでも価格差は約19,800円〜22,000円と比較的小さいです。しかし、一等資格保有者の場合、機関の選定によって最大7,500円程度(20,000円 vs 27,500円)の価格差が生じる可能性があります。

更新における重要要件:身体適性検査の基準

更新申請の前提条件として、操縦者は身体適性基準を満たしていることを証明しなくてはなりません。この要件は、保有する資格の等級によって大きく異なります。

二等資格(および一等25kg未満限定)の場合

最も簡便な方法であり、大多数の操縦者が該当します。

運転免許証で代用可能

「有効な運転免許証」をDIPS 2.0の申請時に提示(アップロード)することで、身体適性基準を満たしているとみなされます。

運転免許証の種類は問われません。普通自動車免許、二輪免許、原付免許など、いずれでも構いません。重要なのは、免許が「有効」であることです。

運転免許証を持っていない場合は、医療機関が発行する指定の診断書(申請前6ヶ月以内の検査結果)が必要になります。

一等資格(25kg以上)の場合

レベル4飛行(有人地帯での目視外飛行)という最もリスクの高い操作を担う資格者として、厳格な基準が適用されます。

指定航空身体検査医での診断書が必須

運転免許証による代用は認められません。以下のいずれかの公的証明書の提出が必須となります。

  • 医療機関が発行する指定の診断書(申請前6ヶ月以内の検査結果)
  • 有効な航空身体検査証明書

診断書の有効期間と注意点

診断書作成には「専門知識が必要」であるため、一般のクリニックでは様式不備で申請が差し戻されるリスクがあります。国土交通省は「指定航空身体検査医」での受診を推奨しています。

一等(25kg以上)の操縦者は、更新講習の予約と同時に、「指定航空身体検査医」の予約を確保するという、計画的な行動が求められます。診断書の作成には通常1〜2週間程度かかることを見込んでおく必要があります。

DIPS 2.0での更新申請手順

DIPS 2.0は、機体登録、飛行計画通報、事故報告、そして「技能証明の更新申請」まで、ドローン運用における中核的な行政プラットフォームです。

技能証明申請者番号の確認

更新申請を行う大前提として、操縦者は「技能証明申請者番号」を取得している必要があります。既に国家資格を保有している操縦者は全員この番号を保有しており、更新申請はこの番号に紐づいたアカウントからログインして行います。

技能証明申請者番号は、初回資格取得時に発行された技能証明書に記載されています。DIPS 2.0にログインする際に必要なIDとパスワードも、初回登録時に設定したものを使用します。

必要書類の準備(更新講習修了証明書、身体適性証明)

DIPS 2.0での申請前に、以下の書類を手元に揃えておく必要があります。

必須書類

  1. 更新講習修了証明書: 登録更新講習機関から発行されたもの(PDF形式または原本をスキャン)
  2. 身体適性証明:
    • 二等(および一等25kg未満限定): 有効な運転免許証の画像
    • 一等(25kg以上): 指定航空身体検査医の診断書または航空身体検査証明書の画像

書類は全て、DIPS 2.0上で画像ファイル(JPEG、PNGなど)としてアップロードします。

申請の具体的な手順(公式マニュアルの活用)

DIPS 2.0のポータルサイトには、手続きごとに詳細な操作マニュアルがPDF形式で用意されています。

DIPS 2.0:技能証明申請の更新申請方法(PDF)

操縦者は、このマニュアルをダウンロードし、熟読しながら手続きを進めることを強く推奨します。マニュアルには、画面キャプチャ付きで各ステップが詳細に解説されています。

申請の基本的な流れ

  1. DIPS 2.0にログイン
  2. 「技能証明の更新申請」メニューを選択
  3. 更新講習修了証明書の情報を入力・アップロード
  4. 身体適性証明書の情報を入力・アップロード
  5. 申請内容の確認
  6. 行政手数料(2,850円)の支払い
  7. 申請完了

審査完了と新技能証明書の交付

国土交通省(航空局)による申請内容の審査が完了すると、DIPS 2.0から審査完了の通知メールが届きます。

その後、新しい有効期間が記載された「無人航空機操縦者技能証明書」が、DIPS 2.0に登録された住所宛に郵送で交付されます。審査から交付までの期間は、通常2〜4週間程度です。

新しい技能証明書には、更新後の有効期間(更新申請日から3年間)が記載されています。古い技能証明書は、新しい証明書が到着したら破棄して構いません。

屋外で点検作業を行うドローン操縦者の後ろ姿

更新プロセスの完全フローチャート

ドローン国家資格の更新プロセスは、以下の4つのステップで構成されます。

ステップ1:身体適性基準の充足

二等資格(および一等25kg未満限定)の場合

  • 有効な運転免許証を準備
  • 免許証の画像をスキャンまたは撮影(DIPS申請時に使用)

一等資格(25kg以上)の場合

  • 指定航空身体検査医に予約
  • 診断書作成のための身体検査を受検
  • 診断書を取得(申請前6ヶ月以内の検査結果)

所要時間: 二等は即座に準備可能、一等は予約〜診断書取得まで2〜4週間

ステップ2:登録更新講習機関での講習受講

  • 国土交通省の「登録更新講習機関(Rコード)」リストから機関を選定
  • オンライン講習の場合、機関のウェブサイトから予約
  • 学科講習(一等3時間、二等2時間)をオンライン受講
  • 効果測定(テスト)に合格
  • 更新講習修了証明書を取得

所要時間: 予約〜修了証取得まで1〜2週間(オンライン受講の場合)

注意点: 修了証明書は申請前3ヶ月以内有効。受講タイミングを慎重に計画する。

ステップ3:DIPS 2.0でのオンライン申請

  • DIPS 2.0にログイン(技能証明申請者番号でアカウント確認)
  • 「技能証明の更新申請」メニューを選択
  • 更新講習修了証明書をアップロード
  • 身体適性証明(運転免許証または診断書)をアップロード
  • 行政手数料(2,850円)を支払い
  • 申請完了

所要時間: 書類準備済みなら30分〜1時間程度

ステップ4:審査完了と新技能証明書の交付

  • 国土交通省(航空局)が申請内容を審査
  • 審査完了の通知メールがDIPS 2.0から届く
  • 新しい技能証明書が登録住所に郵送される

所要時間: 申請から交付まで2〜4週間

よくある質問(FAQ)

Q1: 更新講習はいつから受けられますか?

A: 有効期間満了日の9ヶ月前から受講可能です。2026年1月末が満了日の場合、2025年4月頃から受講できます。ただし、修了証明書は申請前3ヶ月以内有効なので、受講タイミングには注意が必要です。推奨は満了日の4〜5ヶ月前の受講です。

Q2: 修了証明書の有効期限が切れたらどうなりますか?

A: 修了証明書の有効期限(申請前3ヶ月以内)が切れた場合、その修了証明書では更新申請ができません。再度、更新講習を受講し、新しい修了証明書を取得する必要があります。受講料も再度支払うことになるため、修了後は速やかに申請することを強く推奨します。

Q3: 初回取得したスクールで更新講習を受けられますか?

A: 必ずしも受けられるとは限りません。初回取得の「登録講習機関(Tコード)」と、更新講習の「登録更新講習機関(Rコード)」は別の登録制度です。あなたが卒業したスクールが更新講習機関として登録されているかは、国土交通省の「Rコード」リストで確認する必要があります。

Q4: 運転免許証がない場合はどうすればいいですか?

A: 運転免許証がない場合でも更新は可能です。二等資格の場合、医療機関が発行する指定の診断書(申請前6ヶ月以内の検査結果)を取得して提出します。一等(25kg以上)の場合も同様に診断書が必要で、指定航空身体検査医での受診が推奨されます。

Q5: オンラインで全て完結しますか?

A: 標準更新(行政処分歴なし)の場合、更新講習はオンライン(eラーニング)で完結し、DIPS 2.0での申請もオンラインで行えます。ただし、新しい技能証明書は郵送で交付されるため、完全非接触とはなりません。また、一等(25kg以上)で診断書が必要な場合、指定医療機関への訪問が必要です。

Q6: 更新を忘れて失効した場合、再取得が必要ですか?

A: はい、資格が失効した場合、再度の技能証明取得が必要です。登録講習機関で講習を受講し、実地試験・学科試験に合格する必要があります。費用は一等で40万円〜110万円、二等で15万円〜40万円程度かかるため、更新講習(2万円台)と比べて圧倒的に高額です。期限管理を徹底してください。

Q7: 一等と二等の両方を持っている場合、講習は別々ですか?

A: 一等と二等を両方保有している場合、更新講習はそれぞれ別々に受講する必要があります。一等の講習(3時間)と二等の講習(2時間)は内容が異なるため、両方の修了証明書を取得しなければなりません。費用も2回分かかります。

Q8: 停止処分を受けたかどうか確認する方法は?

A: 過去に行政処分(技能証明の効力の停止)を受けた場合、国土交通省から正式な通知書が郵送されています。通知を受け取った記憶がない場合、停止処分は受けていません。不安な場合は、DIPS 2.0のアカウント情報または国土交通省航空局に直接問い合わせて確認できます。

ドローンから撮影した日本の風景の空撮画像

【重要】更新以外の日常的なコンプライアンス

ドローン国家資格の更新プロセスは3年に一度ですが、プロの操縦者にとって最も頻繁に発生し、かつ法的な罰則に直結する重要なコンプライアンス義務が存在します。

飛行日誌の記録義務

航空法第157条の11では、ドローンを飛行させた操縦者に対して、飛行日誌の作成義務が課されています。

飛行日誌には、以下の項目を記録する必要があります。

  • 飛行日時
  • 飛行場所
  • 飛行時間
  • 機体情報(登録記号)
  • 操縦者氏名
  • 飛行の目的
  • 飛行の概要
  • 異常の有無

この記録は、人口集中地区での飛行や目視外飛行といった「特定飛行」に該当しなくても、全てのドローン飛行に対して義務付けられています

DIPS 2.0では管理されない記録

DIPS 2.0は、機体登録、飛行計画通報、ライセンス更新といった「行政手続き」をデジタル化したプラットフォームです。しかし、飛行日誌の記録はDIPS 2.0ではカバーされていません

国土交通省のDIPS 2.0運用ガイドでは、「機体点検記録、飛行記録、整備記録の飛行日誌」は、DIPS 2.0ではなく**「エクセル等でまとめる必要がある」**と明記されています。

罰則(10万円以下の罰金)

飛行日誌の作成を行わない場合、航空法第157条の11に従い、10万円以下の罰金が科せられます。

この義務は日常的なものであり、違反の検挙実績も存在します。プロの操縦者および企業は、以下の管理体制を構築すべきです。

  • 飛行日誌のテンプレート(Excelまたは紙)を準備
  • 飛行後、速やかに記録する運用ルールの確立
  • 定期的な記録の監査(企業の場合)

飛行日誌テンプレートの例

飛行日時飛行場所飛行時間機体登録記号操縦者目的概要異常有無
2025-11-03 10:00東京都○○区△△公園30分JU123456789山田太郎空撮業務施設外観撮影なし

このような記録を、飛行のたびに作成・保管する必要があります。

まとめ

ドローン国家資格の更新講習は、2026年1月に初回の大きな更新期限を迎えます。プロの操縦者として、以下のポイントを再確認してください。

更新のタイムライン

  • 講習受講:満了日の9ヶ月前から可能
  • DIPS申請:満了日の6ヶ月前から可能
  • 修了証有効期限:申請前3ヶ月以内
  • 推奨受講時期:満了日の4〜5ヶ月前

費用の目安

  • 行政手数料:2,850円(固定)
  • 講習受講料:19,800円〜27,500円(機関による)
  • 総額:約22,700円〜30,350円

身体適性要件

  • 二等(および一等25kg未満限定):運転免許証でOK
  • 一等(25kg以上):指定航空身体検査医の診断書が必須

登録更新講習機関の選定

  • 初回取得のスクール(Tコード)≠更新講習機関(Rコード)
  • 国土交通省の「Rコード」リストから選定
  • オンライン受講可能な機関を推奨

日常のコンプライアンス

  • 飛行日誌の記録は全飛行で義務(罰則:10万円以下の罰金)
  • DIPS 2.0ではカバーされない記録義務を忘れずに

2026年問題に備え、今すぐスケジュールを確認し、計画的な更新準備を進めましょう。更新講習の予約が集中する前に、早めの行動を推奨します。